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大冒険 [旅]

今回ナショナル・パークを回り自然とふれあい、その偉大さ、美しさ、優しさ、険しさ等にふれ、今までの自分の生活とはかけ離れていた部分との区別の壁が突如崩れ落ちてしまった様な衝撃的な体験をした。その中でのエピソードを今日は紹介したいが少し長くなるので時間のある時に読んでくれたら幸いです。

ここに載せているのは私が撮った写真ではないがこの場所を見たところからスタートしたのが私の大冒険です。

DPP_50067.JPG

 

話は宿泊した小さな町を散歩していたところから始まる。『写真ギャラリー』と言う文字が目にとまり何気なく入ったそこにはTom Tillというイギリス人の写真家の作品がずらりと並んでいた。『シノゴ』で撮った彼の作品はいずれも素晴らしく、時間の経つのもわすれ数々の作品に見入ってしまった。その中でも特に私の興味を引く写真が1枚あった。その写真は(私が見たのは上の写真ではない)洞窟の様な場所で中央に積み上げられた円形の石が何か儀式的な目的を持つようで神秘的な雰囲気を漂わせていた。

店番をしていた女性にその写真の場所を尋ねると私が行く予定をしていた国立公園の中にあるらしかったが、彼女も確かな情報はわからず、簡単な道順を教えてくれた。そして公園のレインジャーに聞くのが良いと少しきまり悪そうに付け加えた。翌日立ち寄った公園の入り口で入園料を払う際にこの写真の場所を聞くと、その場所はこの公園内にあるのでインフォーメション・センターで聞けば教えてくれるとの返事があり、もうすっかりそこに行く気になっている自分がいた。一応この場所をX地点と呼ぶことにする。

そしてインフォーメション・センターへ直行し、レインジャーを捕まえX地点のことを聞いた。するとレインジャーからびっくりする様な返事が返ってきた。それはX地点全域はとてもデリケートな場所で、聞かれると我々は答える義務がある。しかしこの場所の事は他人に話しても教えてもいけない。そしてその地域を守る為に地図にも記されておらず口頭だけでしか教えないと言われた。

こういう言い方をされるともう落ち着いてはいられない。地図にも書いてない場所にどうやって行けと言うのだ。もうその時点で自分は『聖なる予言』の主人公か、インディー・ジョンズにでもなった気分でどうすればそこにいけるかを尋ねた。するとレインジャーはカウンターの下から一冊のバインダーを取り出し、あるページを開きそこを読むように指示した。こうなると益々秘密めいた場所の様な感じがひしひしと伝わって来る。そこにはトレイルの入り口の写真と注意事項が書かれていた。そして読み終わったらレインジャーはこの公園の地図を取り出し、ペンである場所を示し、そこに車を駐車するようにと教えてくれた。そしてその道を少し上がると右側にトレイルがあるのでそれに従うようにとの事。X地点までの距離は約5キロ。そしてある場所に来るとそれを左に行くよう指示された。それからしばらく下ると右手にX地点が見えてくるが絶対にそこを横切らず、さらに下に降りて、そこからジグザグに上がって来るようにとの事だった。渡してくれた公園の地図は三つ折りされた小さな地図で距離感は全く掴めない。説明が終わった後も全然道がわからないが、とにかくそこに行ってみようと車に戻り目的地に向かった。

車を駐車しろと言われた場所は道の路肩が広くなっていて、多分詰めれば5-6台が駐車できるぐらいの広さだった。既に2台の車が止まっていたが、1台から降りた人達はそこにはっきりと表示されているトレイルの方へ歩いて行った。私は三脚にカメラを取り付け、ズボンのポケットに水を入れて右側にあると言われたX地点への入り口を探した。5キロの道をパックパックを背負って歩くには重すぎるので車に残した。

そしてトレイルの入り口らしい場所を見つけ道から下に降りてみると足跡が見つかった。やった~、これだと思いその足跡について歩き始めた。幸いにも気温は平年よりも10度ほど(カッシでです)低く、わりと歩きやすかった。トレイルに木が生えていたり、大きな岩がありそれに登って降りた所で足跡を探し再び追跡した。砂地で足跡が残っている所はそれがトレイルだとわかるが、遮られた大きな岩の上にくると余りにも広すぎてどちらに行ってよいのかわからなくなる。歩きながら子供の頃に読んだ童話で少女が森の中に入っていく時にバスケットの中に入っているキャンディーを道しるべとして落としていく話を思い出した。犬なら小便という手もあるが、残念ながらそこまでの嗅覚を持ち合わせていない。時間の感覚が全くわからなくなり、ただ砂地の道らしき道を先に誰かが残した足跡だけを頼りに歩いた。

どれだけ歩いただろ。やっと終わりらしい所にたどり着いた。道の両側には大きな岩が広がっており、道は少し上がったところで終わっている様子だ。そしてX地点が見えるのではと期待に胸を躍らせながらすこし登るとその先は絶壁だった。多分300-400メートルぐらい真っ直ぐ下に切り立った崖だった。思わず足がすくんでしまい、体が固まった。今回はこういう体験を何度もした。

 

 

DPP_50072.JPG

 

ここから見えた景色がこれ。レインジャーに見せようと設定もせずいきなり狙ってパチ。

上の写真と比べてみてください。遠くに見える景色同じじゃん。

 

 

右も左も大きな岩で予感としてはドーム型に凹んだ場所はこの近くだと感じたが自分がいる場所からどうやって降りてよいのか想像もつかなかった。 もしかして左右の岩の何処かにあるんではないかと思い、右側の岩に登ってみた。これはもう岩というより岩山だった。岩の表面はこの地独特のざらざら岩ですべりはしないが、岩全体が絶壁に向かって下がっている。そこを三脚とカメラを持って歩くのだが気分的に絶壁に向かって転げ落ちそうでどうしようも無く怖い。そして岩の上は全く目印になる様な物が無く、迷子にならない様に来た方向に向かいパチパチとカメラのシャッターを切りながら歩いた。

DPP_30068.JPG     DPP_30069.JPG

その写真がこれです。

 

そこで多分時間にして30分ぐらいだったと思うが右往左往しながら神秘的なX地点の事を考えながらさまよったが、もうこの時点でインディー・ジョンズはいなくなっていた。そして今まで頼りにしてきた足跡の主はどうしたのかと不思議に思いながらも心は引き返す方向を向いていた。帰り道は自分の足跡がくっきりと付いているので比較的楽だったが、途中大きな岩山の上に来た時には完全に方向がわからなくなってしまった。しきりに来た時の状態を思いだそうとしても何千畳もある様な岩の表面は何処を見ても同じ様で全く方角がわからない。そのうえ来る時に目印にして歩いた大きな奇岩はその場所からは見当たらない。そして携帯を取り出してみたが、ノーシグナルのマークが出ている。やべぇ~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今これを書いているので・・・・・そうです。やっと足跡を見つけ車を止めてある道までたどり着いた。折角張り切って行ったのに残念!!!道に戻り車とは反対の方向に歩いてみると25-30メートルぐらい先にもう一つトレイルを発見!!!!

糞~~~と本当に思いました。

DPP_30070.JPG     DPP_30071.JPG

左が私がこれだと思ったトレイルで右がX地点へのトレイル

 

その後数箇所で写真を撮り、帰り道にまたインフォーメション・センターに立ち寄りレインジャーに説明すると、『残念だったね。でも君はX地点の直ぐ上にいたんだよ。それで何時までいるの。明日また挑戦してみては』だって。少しぐらいわかりやすい目印ぐらいあってもいいんじゃないと言うと、『ここはスペシャルな場所だからそれでいいんだよ』と言う返事が返ってきた。

その日の夕方に夕日の撮影をしていた人と話をしていたらX地点の話が出て『実は今日行こうとしたんだけど見つからなかったよ。そしてレインジャーに他の人に話もするなと言われたよ。』と言ったら彼は車から1冊の本を出してきて、『ここに詳しく行き方書いてあるよ』と教えてくれた。そんならおいらも書いてもいいよね。

でも次回はコンパスとGPS持って行こう、False Kivaへ。


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コメント 13

yakko

スゴイ !!  大冒険ですね〜 
お一人で行動なさっているんですか?? (゜◇゜)ガーン
読んでるだけでゾクゾクします・・・
命知らずのチャレンジャーですね。お若い !!!
by yakko (2009-06-26 15:41) 

aya

怖い・・・でもワクワクものですね、私も男だったら行ってみたいです(^^)v
by aya (2009-06-26 21:21) 

ハイマン

く~ 冒険だぜぇ~!!!
怖いけど進むこのギリギリの
感触たまらないですよね^^
by ハイマン (2009-06-26 21:54) 

ciscokid

yakkoさん、takemoviesさん、ayaさん、ハイマンさん、siraさん:
私のたわいない文章にお付き合いくださり有難うございます。
きっとこの雄大な自然が少年心を目覚めさせたのではと思っています。
yakkoさん、好奇心だけは若いかもしれません。
by ciscokid (2009-06-27 05:44) 

SilverMac

神秘のまま残りましたね。次回の挑戦を期待しています。私は殆ど三脚を使いません。その代わりリモートリリーズを使っています。年をとると1グラムで軽い方を選びます。
by SilverMac (2009-06-27 08:46) 

としぽ

おはようございます。
広大な場所で一人で探すのは大変ですね。コンパスは必要ですね。
大冒険でしたね。
by としぽ (2009-06-27 10:01) 

のぶあき

はじめまして。
すごい体験ですね!!
文章を拝見しながらワクワクしてしまいました♪

by のぶあき (2009-06-27 11:24) 

ciscokid

SilverMacさん、としぼさん、のぶあきさん、tokiさん、hrdさん、xml_xslさん:
感謝、感謝です。
最近よく感じるんですが、やりたい事や行きたい所があれば先延ばしにせず、そう思った時にやるべきだと。昔ギリシャのパルテノンに行った時に一緒のグループの白人のおばあちゃん達数人は我々がパルテノンまで登っている間、下のレストランで待ってました。その時はここまで来てもったいないと思いました。そして好きな事や、やりたい事は多少無理しても出来る時にやっておこうと。
by ciscokid (2009-06-27 13:51) 

ciscokid

この記事は自分の中では大冒険でしたがこんな事を書いても自己満足でしかないと最初思いました。書いた後、消去しようかなとも思いました。でもふと見た一枚の写真に対する思いから始まり、それを行動に移し、わくわくし、恐怖とも対面し、失望もし、最後にはでも次回はと次の課題も出来楽しい思い出だけが残りました。
日々の生活でも毎日同じ道を歩くのではなく、今まで行った事のない脇道を歩くことで新しい発見や刺激を受けます。何時までもこの好奇心を失わないような自分でありたいと願っています。

今回立ち寄ってくれた方々、nice & コメントを下さった方々、本当に有難う御座いました。とても嬉しく、感謝しています。

c_yuhkiさん、イリスさん、shinさん、atomさん:nice有難う御座います。
by ciscokid (2009-06-28 04:40) 

Baldhead1010

日本でもある写真を見せて、どこから撮ったのかを捜させる番組がありましたね。

でも、この砂漠は広すぎる・・・。
by Baldhead1010 (2009-06-28 07:22) 

ciscokid

Baldhead1010さん、sakikopさん、cheeさん:
訪問、nice & コメント有難う御座います。
今回、国立公園の表現に雄大とか広大とかを使いましたが、アメリカは広い、とにかく広いですね。
by ciscokid (2009-06-28 14:22) 

こうちゃん

ワクワクしますが、ガクガクもしますね。
by こうちゃん (2009-06-28 16:26) 

ciscokid

こうちゃんさん、DIONさん:
nice & コメント有難う御座います。感謝!!
by ciscokid (2009-06-30 13:12) 

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